犠打と犠飛 

02/06/22にYahoo!で「サヨナラ犠打」を検索してみたら、25件ヒットしました。全部拝見したわけではありませんが、どうやら大半は「サヨナラ犠牲フライ」のことを「サヨナラ犠打」とおっしゃっているようです。

08/05/25に再度検索してみたら、次のようになりました。

●Yahoo!
サヨナラ犠打 で検索した結果 約321,000件
"サヨナラ犠打" で検索した結果 約578件

●Google
サヨナラ犠打 の検索結果 約 30,700 件
"サヨナラ犠打" の検索結果 約 573 件

6年前にはたった25件だったのに、今ではフレーズ検索でもその20倍です。ネット人口はこんなにも膨れ上がっているわけですが、やはり「サヨナラ犠牲フライ」のことを「サヨナラ犠打」と表現されているようです。

「サヨナラ犠牲フライ」は別に珍しくありません。「サヨナラ犠牲バント」は絶無ではありませんが、非常に珍しいケースです。なぜなら、バント(スクイズ)でサヨナラの得点が入ったときは、通常は「安打」が記録されるからです。

「サヨナラ犠牲フライ」のことを「サヨナラ犠打」と表現する(できる)人たちは、このデリケートな問題を深く考えたことはないはずです。「セットポジション」は野球専門のサイトです。管理人は記録マニアを自認しています。「サヨナラ犠牲フライ」を「サヨナラ犠打」と表現するにはプライドが邪魔します。

というわけで、「セットポジション」における「犠打」とは犠牲バントのみを示しており、犠牲フライは「犠飛」としています。両者を包括する場合には「犠打飛」を用いています。これはサイト開設当初から一貫していることです。

ただし、とくにアマチュア野球の場合、「犠打」と「犠飛」を区別しないのが一般的です。したがって、犠牲フライのことを「犠打」と表現しても、必ずしも間違いだとは言い切れないのかもしれません。実際、手元の辞書で「犠打」をひいてみると、次のように記載されています。

講談社『日本語大辞典』(=89年第1刷)

野球で、打者が犠牲になって、走者の進塁や得点を助けた打撃。犠牲フライと犠牲バントがあり、いずれも打数には含まれない。


この国語辞典の定義にしたがうのなら、犠牲フライを「犠打」と言いあらわしても、間違いではないことになります。狭義の「犠打」は犠牲バントのみのことであり、広義の「犠打」は犠牲バントのほかに犠牲フライを含むわけです。

犠牲バントと犠牲フライは、打数に算入されませんので打率を下げる要素にはなりません。ただ、両者は出塁率計算の際に扱いが異なります。犠牲バントは出塁率を下げませんが、犠牲フライのときは出塁率が下がります。

また、得点が記録されることが「犠牲フライ」の必要条件です。一死一・二塁で打者が深いライトフライを打ち、タッチアップした二塁走者は三塁へ、一塁走者は二塁へ、それぞれ進塁しても、記録上の「犠牲フライ」にはなりません。この場合は、普通の外野フライですので、「打数」がカウントされて、打率を下げることになります。

なお、ソフトボールでは犠牲バントと犠牲フライを一括して「犠牲打」として記録しているようですので、ご注意ください。



このエントリーは02/06/23付で「あまり野球に詳しくない方のために」のページに追記した「犠打/犠飛」をリライトしたものです。
2008/05/25(日)| 野球用語 | コメント(0)

但書き/但し書 

Googleでフレーズ検索してみました。


 "但書" の検索結果 約 345,000 件
 "但書き" の検索結果 約 40,300 件
 "但し書き" の検索結果 約 939,000 件
 "但し書" の検索結果 約 13,000 件


「但書き」の検索結果には「但書」が含まれますし、「但し書き」の検索結果には「但し書」が含まれます。


法律では送り仮名を送らず「但書」になりますが、「セットポジション」では「但書き」にしています。「申し送り」を「申送り」とするのはOKですが、「申し送」はNGだからです。


「ただしがき」の場合は、法律をかじったことのある人なら「但書」になじんでいるはずです。「但し書」でも「但書き」でも意味が通じないということはありませんので、「但書」と「但し書き」を含めて、どれも誤りとは言えないでしょう。


学生野球憲章では「但し書」が使われています。


第十二条 前二条に関しては第十条第一項但し書の場合を除くほか<略>


不思議なことに「但し書」を検索すると、財団法人関係がずらっと並びます。根津美術館、東洋文庫、中央教育研究所、日米教育交流振興財団、山口県社会保険協会などです。


一方、「但書き」で検索すると財団法人は(上位では)ヒットしません。どこかがつくった寄付行為の雛形が「但し書」で、それを使っている司法書士が多いということなのかもしれません。




このエントリーは07/05/07付で「2代目んだ」にUPした“「但書き」か「但し書」か”をリライトしました。コメントは転載しませんでした。検索結果は08/05/11現在です。

2008/05/11(日)| 送り仮名 | コメント(0)

暴投と悪送球 

これも02/04/03付で「あまり野球に詳しくない方のために」のページに追加したものですが、やはり条項番号の変更(2.81→2.82、10.15→10.13)に伴い、こちらに移すことにしました。

08年版 『公認野球規則』

2・82 WILD PITCH「ワイルドピッチ」(暴投)――捕手が普通の守備行為で処理することができないほど高すぎるか、低すぎるか、横にそれるかした、投手の正規の投球をいう。
10・13(a) 投手の正規の投球が高すぎるか、横にそれるか、低すぎたために、捕手が普通の守備行為では止めることも処理することもできず、そのために走者を進塁させた場合には、暴投が記録される。
 また、投手の正規の投球が、捕手に達するまでに地面やホームプレートに当たり、捕手が処理できず、そのために走者を進塁させた場合にも、暴投が記録される。
 第3ストライクが暴投となり、打者が一塁に生きた場合は、三振と暴投を記録する。


投手がプレイボール直後の第1球をバックネットに直接当てる「投球」をした場合、これは「暴投」と呼んでいいでしょうか? 『公認野球規則』2・82の定義にしたがうなら「暴投」ですが、10・13で言う記録上の「暴投」ではありません。ランナーがいなければ10・13の「暴投」ではありませんし、ランナーが進塁しなかったときも10・13の「暴投」にはなりません。

一般的マスメディアは、「暴投」を10・13の定義で使っているものと思われます。なお、ピッチャーゴロを処理した投手の一塁送球がワンバウンドになり、ファウルグラウンドに抜けてしまった場合は「暴投」ではありません。そもそも「投球」ではないからです。

とはいえ、内野ゴロ一塁「悪送球」に対して、「暴投」を用いる解説者さんは少なくありません。野球に携わる者としては、やはり適切さを欠く表現ではないかと私は考えています。まあ、一般の人にまで、この使い分けを要求するつもりはないのですが…。
2008/04/23(水)| 野球用語 | コメント(0)

投球と送球 

02/04/03付で「あまり野球に詳しくない方のために」のページに追加したものですが、条項番号の繰り下げ(2.59→2.60、2.76→2.77)に伴い、こちらに移します。

08年版 『公認野球規則』

2・60 PITCH「ピッチ」(投球)――投手が打者に対して投げたボールをいう。(8・01)
 【原注】あるプレーヤーから他のプレーヤーに送られるボールは、すべて送球である。
2・77 THROW「スロー」(送球)――ある目標に向かって、手および腕でボールを送る行為をいい、常に投手の打者への投球(ピッチ)と区別される。


一般的なマスメディアでは、『公認野球規則』の定義に従い、「投球」と「送球」は区別して使われています。

「投球」とは、ピッチャーが打者に対して投じたものです。「送球」とは、野手(投手を含む)が、打者または走者をアウトにするために、あるいは進塁を防ぐために投じたものです。

ホームスチールが企てられた場合、ピッチャーがプレートを外してキャッチャーに投げたら、それは「送球」です。打者に対する「投球」ではありません。打者が打ってもよく、ストライク・ボールがカウントされるのが「投球」であり、それ以外は単なる「送球」です。

したがって、ショートが一塁に「投球」することなどあり得ません。すくなくとも、「セットポジション」ではありません。もしあったら、それは私の誤りです。
2008/04/23(水)| 野球用語 | コメント(0)

画竜点睛/画龍点睛 

「4人目のあと1人、10度目のあと1球」のページに次のような記述がありました。


http://set333.net/nettoo03ato1ri.html#ato1

もし、ノーヒットノーランになったとき、選手名が1人でも抜けては画龍点睛を欠くことになる。


固有名詞については「龍」も使うことにしていますが、それ以外は平易な文字を用いたいと思いますので、「画竜点睛」に置き換えました。おそらく「睛」に引きずられて「龍」を用いたものと思われます。


Googleのフレーズ検索では次のようになりました。やはり「画竜点睛」のほうが優勢です。


 "画竜点睛" の検索結果 約 132,000 件
 "画龍点睛" の検索結果 約 41,700 件
 "画竜点晴" の検索結果 約 5,600 件
 "画龍点晴" の検索結果 約 5,320 件


「画竜点睛」の「睛」は目へんで、「晴れ」は日へんです。両者はまったく別の文字であって、「睛」は「晴」の旧字体ではありません。

2008/04/17(木)| 未分類 | コメント(0)