01年9月27日、第153国会の所信表明演説において小泉首相は次のように語りました。
第百五十三回国会における小泉内閣総理大臣所信表明演説
進化論を唱えたダーウィンは、「この世に生き残る生き物は、最も力の強いものか。そうではない。最も頭のいいものか。そうでもない。それは、変化に対応できる生き物だ」という考えを示したと言われています。
微妙な言い回しですが、小泉氏(のスピーチライター)はダーウィンが語った(書いている)と述べているのではありません。
実は、私はその半年前にこの言葉を聞きました。やはりダーウィンの言葉として聞かされたのです。正確に覚えているわけではありませんが、おおむね次のようなものでした。
すべからく強い者が生き残ったわけではない。すべからく賢い者が生き残ったわけでもない。すべからく変化に対応した者が生き残ったのだ。
あれっ? 「すべからく」って?
もともと「すべからく」は、「すべからく〜すべし」で「〜する必要がある」という意味になるはずです。「べし」を伴わずに単独で「すべて」の意味で用いるのは誤用です。
まあ、ご本人はもったいぶって(偉そうに?)そうおっしゃったのでしょうが、この言葉を聞いたとき、原文はいったいどうなっているのだろうかという疑問が芽生えたのでした。
この言葉はどうやら『種の起源』に書いてあるらしいとわかって、古本屋で入手したのは01年夏のことでした。私が『種の起源』を読み終えてまもなく、ちょうどタイミングよく小泉演説があったという次第です。
私が読んだ『種の起源』には、そんな言葉は見つかりませんでした。小泉演説では「ダーウィンは〜という考えを示したと言われている」とされていて、『種の起源』と特定されているのではありません。
図書館でダーウィンに関する本を読んでみましたが、やはりこの言葉に類するものは見つかりませんでした。ないことを証明するのは困難です。「悪魔の証明」になってしまいます。
この言葉を聞いて1年後、ようやく私はネット上で信頼できる結論にたどり着きました。これは後世の創作であり、ダーウィン自身が語ったものではない、と。ダイヤルアップ接続だった当時、野球以外でネットにつなぐことはほとんどありませんでした。発見が遅れたわけです。
信頼できる結論とは次のページです。
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ダーウィンは「変化に最も対応できる生き物が生き残る」と言ったか?まあ、発端は「すべからく」でしたが、「セットポジション」にはこれをネタにした
「強者でもなく、賢者でもなく」というページがあります。先頃、アクセス解析を覗いてみたら、このページのアクセスが07/08/30にブレイクしています。
ほとんど例外なく検索エンジン経由でした。きっと、どなたかがこの言葉を使ったのでしょう。誰が使ったのか、とても気になりますので、ご存じの方がおられましたらご教示ください。
なお、「セットポジション」においては、「すべからく」を「すべて」の意味で用いることはありません。