08年版 『公認野球規則』10・14
(b) 故意四球は、投球する前から立ち上がっている捕手に四球目にあたるボールを、投手が意識して投げた場合に、記録される。
俗に「敬遠」と称される守備側の行為は、記録上は「故意四球」と呼ばています。規則文中の「四球目」には「フォアボール」とルビが振ってあるように、4ボール目に当たる投球のとき、キャッチャーが立ち上がっていたかどうかが、ただの「四球」か「故意四球」かを分けることになります。
問われるのは4ボール目だけです。走者一・三塁で普通に勝負していたところ、カウント1−2からの4球目に一塁走者が二盗に成功して一塁が空いたので、4ボール目に当たる次の投球でキャッチャーが立ち上がった場合には「故意四球」が記録されるわけです。
91/08/16の明徳義塾高対星稜高戦で松井秀喜が全5打席歩かされたのは、意図としては「敬遠」であることに疑いようもありませんが、捕手が座っていたので記録上の「故意四球」ではありません。記録には客観性が求められるからです。
さて、定義上は「投球する前」と「立ち上がっている捕手」が議論になりそうです。「投球する前」の「投球」とは、投手が投手板についたとき、投手が投球モーションを起こしたとき、リリースの瞬間、のどれを指すのか明確ではありません。
8.05(l)【注】には、
「ボールが投手の手を離れないうちに」との記述があることから、私はリリースの瞬間を基準にしています。
私の
「スコアの記入法」では、捕球時に捕手が立ち上がっていれば、投球前に立ち上がっていなくても普通のボールとは区別しています。これは「敬遠気味の四球」としてスコアカードに残ることになります。「座ったままの敬遠」のときはその旨のメモを残すようにしています。「セットポジション」ではこれらを「実質的な敬遠」と呼ぶことがあります。
また、捕手の中腰は「立ち上がっている」に含まれるのかどうかという悩ましい問題もあるわけです。私は中腰でも「故意四球」にしていますが…。
ところで、私は敬遠中の牽制球で三塁走者タッチアウトというシーンを見たことがあります。→
「似て非なるもの」
02/06/22にYahoo!で「サヨナラ犠打」を検索してみたら、25件ヒットしました。全部拝見したわけではありませんが、どうやら大半は「サヨナラ犠牲フライ」のことを「サヨナラ犠打」とおっしゃっているようです。
08/05/25に再度検索してみたら、次のようになりました。
●Yahoo!
サヨナラ犠打 で検索した結果 約321,000件
"サヨナラ犠打" で検索した結果 約578件
●Google
サヨナラ犠打 の検索結果 約 30,700 件
"サヨナラ犠打" の検索結果 約 573 件
6年前にはたった25件だったのに、今ではフレーズ検索でもその20倍です。ネット人口はこんなにも膨れ上がっているわけですが、やはり「サヨナラ犠牲フライ」のことを「サヨナラ犠打」と表現されているようです。
「サヨナラ犠牲フライ」は別に珍しくありません。
「サヨナラ犠牲バント」は絶無ではありませんが、非常に珍しいケースです。なぜなら、バント(スクイズ)でサヨナラの得点が入ったときは、通常は
「安打」が記録されるからです。
「サヨナラ犠牲フライ」のことを「サヨナラ犠打」と表現する(できる)人たちは、このデリケートな問題を深く考えたことはないはずです。「セットポジション」は野球専門のサイトです。管理人は記録マニアを自認しています。「サヨナラ犠牲フライ」を「サヨナラ犠打」と表現するにはプライドが邪魔します。
というわけで、「セットポジション」における「犠打」とは犠牲バントのみを示しており、犠牲フライは「犠飛」としています。両者を包括する場合には「犠打飛」を用いています。これはサイト開設当初から一貫していることです。
ただし、とくにアマチュア野球の場合、「犠打」と「犠飛」を区別しないのが一般的です。したがって、犠牲フライのことを「犠打」と表現しても、必ずしも間違いだとは言い切れないのかもしれません。実際、手元の辞書で「犠打」をひいてみると、次のように記載されています。
講談社『日本語大辞典』(=89年第1刷)野球で、打者が犠牲になって、走者の進塁や得点を助けた打撃。犠牲フライと犠牲バントがあり、いずれも打数には含まれない。
この国語辞典の定義にしたがうのなら、犠牲フライを「犠打」と言いあらわしても、間違いではないことになります。狭義の「犠打」は犠牲バントのみのことであり、広義の「犠打」は犠牲バントのほかに犠牲フライを含むわけです。
犠牲バントと犠牲フライは、打数に算入されませんので打率を下げる要素にはなりません。ただ、両者は出塁率計算の際に扱いが異なります。犠牲バントは出塁率を下げませんが、犠牲フライのときは出塁率が下がります。
また、得点が記録されることが「犠牲フライ」の必要条件です。一死一・二塁で打者が深いライトフライを打ち、タッチアップした二塁走者は三塁へ、一塁走者は二塁へ、それぞれ進塁しても、記録上の「犠牲フライ」にはなりません。この場合は、普通の外野フライですので、「打数」がカウントされて、打率を下げることになります。
なお、ソフトボールでは犠牲バントと犠牲フライを一括して「犠牲打」として記録しているようですので、ご注意ください。
このエントリーは02/06/23付で「あまり野球に詳しくない方のために」のページに追記した「犠打/犠飛」をリライトしたものです。
Googleでフレーズ検索してみました。
"但書" の検索結果 約 345,000 件
"但書き" の検索結果 約 40,300 件
"但し書き" の検索結果 約 939,000 件
"但し書" の検索結果 約 13,000 件
「但書き」の検索結果には「但書」が含まれますし、「但し書き」の検索結果には「但し書」が含まれます。
法律では送り仮名を送らず「但書」になりますが、「セットポジション」では「但書き」にしています。「申し送り」を「申送り」とするのはOKですが、「申し送」はNGだからです。
「ただしがき」の場合は、法律をかじったことのある人なら「但書」になじんでいるはずです。「但し書」でも「但書き」でも意味が通じないということはありませんので、「但書」と「但し書き」を含めて、どれも誤りとは言えないでしょう。
学生野球憲章では「但し書」が使われています。
第十二条 前二条に関しては第十条第一項但し書の場合を除くほか<略>
不思議なことに「但し書」を検索すると、財団法人関係がずらっと並びます。根津美術館、東洋文庫、中央教育研究所、日米教育交流振興財団、山口県社会保険協会などです。
一方、「但書き」で検索すると財団法人は(上位では)ヒットしません。どこかがつくった寄付行為の雛形が「但し書」で、それを使っている司法書士が多いということなのかもしれません。
このエントリーは07/05/07付で「2代目んだ」にUPした“「但書き」か「但し書」か”をリライトしました。コメントは転載しませんでした。検索結果は08/05/11現在です。