牽制球 

「牽制球」の「牽」の字は常用漢字の表外文字です。したがって、新聞などは「けん制球」と交ぜ書きで表記していますが、「セットポジション」では「牽制球」を使っています。野球用語にはコントロールを意味する「制球」があり、「けん」をひらがな表記することは好ましくなかろうと思われます。

念のために、Googleでフレーズ検索してみます(検索結果はすべて07/10/22現在)。

 "牽制球" の検索結果 約 105,000 件
 "けん制球" の検索結果 約 14,600 件

「卑怯」の「怯」、「迂回」の「迂」、「洞窟」の「窟」も表外文字ですが、下手に交ぜ書きするとかえって読みにくくなりそうです。

 "卑怯" の検索結果 約 1,840,000 件
 "卑きょう" の検索結果 約 412 件

 "迂回" の検索結果 約 2,810,000 件
 "う回" の検索結果 約 23,100 件

 "洞窟" の検索結果 約 4,660,000 件
 "洞くつ" の検索結果 約 90,500 件

では、「改竄」はどうでしょうか。トリプルスコアで交ぜ書きのほうが多数派です。

 "改竄" の検索結果 約 1,080,000 件
 "改ざん" の検索結果 約 3,320,000 件

実は「セットポジション」では、多数派の交ぜ書きではなく、少数派の漢字表記にしています。「剽窃事件の顛末」のページです。

私が看過できなかったのは剽窃そのものではなく、「改竄」あるいは「捏造」でした


まあ、これは野球のページではありませんし、「盗作」や「盗用」ではなく「剽窃」というあまり一般的ではない言葉を標題に据えていますから、「改ざん」はむしろ具合が悪いわけです。

これに対して、「投擲」については交ぜ書きにしています。 「女子軟式選手権」のページです。

投てき種目の記録を見ると、ギャップは「足」よりも「肩」のほうが大きいと考えてよさそうだ


こちらは、そもそも「とうてき」という言葉自体に馴染みのない人もいるだろうと思いましたので、無理に漢字表記とせず、交ぜ書きを使いました。

 "投擲" の検索結果 約 648,000 件
 "投てき" の検索結果 約 105,000 件

うーん。この検索結果は意外です。まあ、陸上競技のサイトでは「投擲」でいいのでしょう(書けないにしても…)。
2007/10/23(火)| 交ぜ書き | コメント(0)

mistake 

昨日、「ミステーク」と書いてしまいました。やっちまった、と思ったのですが…。→ 「タイムの宣告」

Googleのフレーズ検索は次のとおりです。

 "ミステイク" の検索結果 約 158,000 件
 "ミステーク" の検索結果 約 25,700 件

今気づいたばかりですが、Yahoo!でも半角ダブルコーテーションで挟めば「表記のゆれを含めないで検索」することができるようです。

 "ミステイク" で検索した結果 約280,000件
 "ミステーク" で検索した結果 約37,100件

ちなみに、Yahoo!辞書で「ミステイク」を検索しても「国語辞書検索で該当する情報は見つかりませんでした」になります。もちろん、「ミステーク」なら項目があります。

Live Search では次のようになります。

 ミステイク 63,400 件
 ミステーク 12,200 件

というわけで、「テイクオフ」同様、「テイク」圧勝でした。次回以降は私も「ミステイク」を使うことにします。

日経新聞のサイト内検索をかけると、「ミステイク」と「ミステーク」がそれぞれ1件ヒットしました。どちらも外部コラムですが、「ミステイク」のほうが面白かったのでリンクしておきます。非商用サイトである「セットポジション」にはあまり関係のないことですが、ビジネスでは深刻な問題になります。

外部リンク
 ■IT-PLUS>「湯に黒」をただの誤変換と侮るなかれ
2007/10/19(金)| 外来語 | コメント(0)

座りが悪い/据わりが悪い 

「セットポジション」では「座りが悪い」を3ページで、「座りがいい」を2ページで使っています。「座りが悪い」の3件はすべて「いささか座りが悪い」だったりします。「いささか」でなければ「ちょっと」を使うでしょうが…。

ご指摘があったのは別のページですが、1つだけ使用例を掲げておきます。「ポストシーズンゲームはこうしろ!」のページです。

ページシステムは予選リーグが1組の場合には、いささか座りが悪い。


私は「座りが悪い」でいいと思っていましたが、「すわる」という動詞で考えたときは、たしかに「据わりが悪い」が正しいのでしょう。Web辞書最大手?の大辞林で「すわる」を検索してみました。

すわ・る0 【座る・▼坐る・据わる】
(動ラ五[四])
[1] 膝(ひざ)を折り曲げたり、腰をかけたりして席につく。
 ・ 畳に―・る
 ・ いすに―・る
[2] 人がある位置・地位などにつく。
 ・ 部長のポストに―・る
[3] ぐらぐらしないで、安定する。《据》
 ・ 腰が―・る
 ・ 赤ん坊の首が―・る
[4] 一か所に定まって動かなくなる。《据》
 ・ 目が―・る
[5] 落ち着いて物に動じなくなる。《据》
 ・ 肝の―・った人だ ・ 性根が―・る
 <略>


なるほど。ちなみに、Yahoo!辞書には大辞林と大辞泉がありますが、大辞泉では「座る」と「据わる」は別項目が立てられています。 ところで、大辞林で「すわり」を検索すると、次のようになっています。

すわり0 【座り・▼坐り】
[1] すわること。
・ ―場所
[2] 据えたときの落ち着き具合。安定。
・ ―が悪い


答えが出てしまいました。「すわりがいい/悪い」の「すわり」はやはり「座り」でいいようです。 いつものように、Googleでフレーズ検索してみました(いずれも07/10/15現在)。

 "座りが悪い" の検索結果 約 21,000 件
 "据わりが悪い" の検索結果 約 764 件
 "すわりが悪い" の検索結果 約 9,290 件

 "座りがいい" の検索結果 約 840 件
 "据わりがいい" の検索結果 約 2,680 件
 "すわりがいい" の検索結果 約 5,980 件

 "座りが良い" の検索結果 約 16,100 件
 "据わりが良い" の検索結果 約 1,530 件
 "すわりが良い" の検索結果 約 2,630 件

「いい」では「すわり」>「据わり」>「座り」の順ですが、「悪い」と「良い」では「座り」>「すわり」>「据わり」の順です。書き直したほうがいいかもと思っていたのですが、圧倒的な大差です。これならスルーしてもよさそうです。 いわゆる知識人層でも「座りが悪い」は使われています。日本地震学会や中岡望氏は別にしても、日本近代文学専攻の大学の先生も使っています。「〈ことば〉ノート」というブログの「ブログの効用」には次のように記されています。

とにもかくにも座りが悪いことだけを追記しておくことにいたします


ちょっと意外だったのが、次の検索結果です。

 "肝が座る" の検索結果 約 777 件
 "肝が据わる" の検索結果 約 1,850 件

 "根性が座る" の検索結果 約 1,050 件
 "根性が据わる" の検索結果 約 105 件

 "性根が座る" の検索結果 約 141 件
 "性根が据わる" の検索結果 約 36 件

 "度胸が座る" の検索結果 約 786 件
 "度胸が据わる" の検索結果 約 788 件

 "腹が座る" の検索結果 約 9,230 件
 "腹が据わる" の検索結果 約 817 件

 "目が座る" の検索結果 約 41,600 件
 "目が据わる" の検索結果 約 4,430 件

 "首が座る" の検索結果 約 941 件
 "首が据わる" の検索結果 約 13,300 件

辞書的には「据わる」が正しいはずですが、「据わる」が優勢なのは「肝」と「首」ぐらいです。「“腹が座る”は“肝が据わる”の誤用だ」というWebページもありましたが、「座る」のほうがどっしり落ち着いている感じがうまく出ているような気がします。

まあ、さすがに「首が座る」には少し抵抗がありますけど…。
2007/10/15(月)| 訓読み同音語 | コメント(0)

球児 

日本高野連様のWebサイトのindexページのソースを見ると、metaタグのkeywordsが次のように指定されています。

 "高校野球,高野連,甲子園,球児,野球,春,夏,センバツ,野球,baseball"

おおむね妥当なキーワードだろうと思われます。「セットポジション」では、面倒なことはやりたくないので keywords は無指定ですが…。

「セットポジション」内では、「球児」を4ページで使っていますが、そのうち2ページは固有名詞(藤川球児)です。また、「お情け無用」のページでも、私自身が地の文で使っているのではありません。

一塁側の応援席には「明るく楽しく元気よく和歌山県立南部高等学校」の横断幕が掲げられた。「頑張れ!○○球児」より私の好みだ。


実質的には「賽は投げられた」のページだけです。

右翼手はダイブした。まるで高校球児のように。


私は、あえて「球児」を使いました。ここではそのほうが効果的だと思ったからです。

■外部リンク
 高校野球マイナー情報局>野球部員は「球児」ではなく、「ベースボールキッズ」だ!
2007/10/09(火)| 使用禁止 | コメント(0)

一・二塁/一、二塁 

走者が一塁と二塁にいるとき、「セットポジション」では走者「一・二塁」と中点(中黒)を用いて表記しています。日本語変換ソフトに「いちにるい」が「一・二塁」で変換されるように辞書登録しているのです。これはワープロ専用機を使っていた「スコアシート」時代からのいわば伝統です。

新聞各紙のWebサイトを調べてみました。

 朝日新聞「一、二塁」
 毎日新聞「一、二塁」
 読売新聞「一、二塁」
 産経新聞「一、二塁」
 日本経済新聞「一、二塁」
 東京新聞「一、二塁」
 日刊スポーツ「一、二塁」
 スポーツニッポン「一、二塁」
 スポーツ報知「一、二塁」
 サンケイスポーツ「一、二塁」
 東京中日スポーツ「一、二塁」
 北海道新聞「一、二塁」
 河北新報「一、二塁」
 西日本新聞「一、二塁」

このように、例外なく読点が使われています。まあ、容易に想像できることです。縦書きで「二・五キロ」とあれば「2.5キロ」のことですから、縦書きで「一・二塁」とすると「1.2塁」(いち てん に るい)になります。もちろん野球に「1.2塁」などあろうはずもないのですが…。

3人か4人を意味するときも「三、四人」です。「三・四人」ではありません。「三」も直接「人」にかかるときは読点が用いられるのが一般的です。したがって、新聞各紙の表記は原則どおりなのです。

「セットポジション」は野球に特化したサイトですから「一・二塁」と表記したところで、誰も「いちてんにるい」とは読まないでしょう。そんな読み方をするような人が来るところではありません。

むしろ、ここに中点を使うことで、文章全体は断然読みやすくなります。ほら。

 7回裏二死一、二塁、Aの中前安打で二塁走者Bが生還
 7回裏二死一・二塁、Aの中前安打で二塁走者Bが生還

というわけで、今後も「セットポジション」では「いちにるい」を「一・二塁」という具合に中点で区切ります。はい。
2007/10/08(月)| 区切り符号 | コメント(0)

一番最後 

「んだ」の「利用上の注意」のページには次のように記載しています。

17万5000項目を収録している私の手元の国語辞典の一番最後の見出し語が「んだ」でしたので、「裏表紙(んだ)」というタイトルにしました。


今ではブログとして運用している「んだ」ですが、もともとは「セットポジション」内の1ページでした。旧「んだ」の時代から、“「んだ」は手元の国語辞典の一番最後の項目です”との説明を添えてきました。

「一番最後」は重言です。「富士山の山に登山する」のたぐいです。ご指摘のメールを頂戴したこともあります。

実は「一番」を外した時期もありました。ただ、10項目のうちの10番目なら「最後」で足りるとしても、17万5000項目を収録した国語辞典の最後の項目であれば、単に「最後」だけでは少し物足りない気がするのです。

「最後」であることを強調するためには「最後」に何かつけたいところです。「一番」はもっとも手頃な(お手軽な?)ものでした。同じ重言でも、「もっとも最後」や「一番ラスト」より違和感は少ないはずです。

強調の意味なら、重言として退けるほどでもないだろうと判断して復活させて今に至っています。まだ検討の余地はありますが…。

Googleのフレーズ検索は次のとおりです(07/10/04現在)。

 "一番最初" の検索結果 約 3,050,000 件
 "一番最後" の検索結果 約 1,530,000 件
 "最も最初" の検索結果 約 11,700 件
 "最も最後" の検索結果 約 1,920 件

この件数からすると、「一番最初(最後)」は認知されていると考えてもよさそうです。まあ、さすがに「最も最初(最後)」は使えませんけど…。
2007/10/04(木)| 重言 | コメント(0)

プレート板 

あるWebサイトを読んでいて、「プレート板」が気になりました。やはり重言ではないかなあ、と。まあ、そのサイトは昔も目を通したことがあるのですが(実はリンクしていたりして)…。

Google検索してみました(以下、検索結果は07/10/02現在)。

 野球 "プレート板" の検索結果 約 394 件
 野球 "投手プレート" の検索結果 約 542 件
 野球 "投手板" の検索結果 約 958 件

「プレート板」はスポーツ紙にはありますが、さすがに一般紙にはありませんでした。限りなくNGに近いと思われます。

ミスター語には「若いヤング」とか「力(ちから)とパワーを兼ね備えた」のような重言が豊富ですから、17本のバラの花束でFA移籍を踏みとどまった元投手が染まっても仕方がないことかもしれません(まあ、本人が書いているわけではなさそうですが…)。

「セットポジション」内のサイト内検索では、次のとおりです。もちろん「プレート板」はありません。

 投手プレート 3ページ4件
 投手板 7ページ24件

カタカナの多いページなら「投手板」を使うでしょうし、漢字が多ければ「投手プレート」を使うことになります。「セットポジション」は一般的にカタカナ比率が高いので「投手板」のほうが多くなるのでしょう。

野球で単に「プレート」と言えば、通常は「投手プレート」を指し、「ホームプレート」が「プレート」と略されることはまずありません。ですから、ただの「プレート」で済ませているケースも多いはずです。

ちなみに『公認野球規則』には、「ホームプレート」はあっても「投手プレート」はありません。すべて「投手板」です。

では、「pitcher's plate」の「's」は清音でしょうか。それとも濁音でしょうか。Google検索してみました。

 "ピッチャーズプレート" の検索結果 約 1,010 件
 "ピッチャースプレート" の検索結果 約 117 件

「batter's box」を『公認野球規則』は「バッタースボックス」としていますが、『オフィシャル・ソフトボール・ルール』では「バッターズボックス」だったりします。

【(お返しの?)外部リンク】
 貧盗恋歌>清濁併せ呑む
2007/10/03(水)| 重言 | コメント(0)